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2 Breakaway Pool ブレイカウェイプール
グラハムの車は15年程前の三菱ミラージュワゴン。
ここニュージーランドでは自動車の製造をしていない為、道を走っているのは、日本から輸入してきた中古車が多い。
輸入自動車には200%の関税がかけられるため、中古車とはいえニュージーランドでは高価な買い物だ。
街を走っているバスには「越谷○○幼稚園」なんて名前のはいったものも。
私たちが日本で乗っている、1986年製8万Km走行のカリーナバンだって、ここでは立派な車なのである。
それにしても、ここの人たちは古い車を大切に乗っている。
オークランドからツランギに向かう途中の道すじでは、10〜20年前の懐かしい日本車にどれも白人が乗っている光景を見ると、なんとも不思議な感じがしていた。
サンドイッチを食べ終わり、グラハムの車に乗せてもらうためロッドをたたもうとすると、
「そのままでOKだ。」と、言う。
リアハッチを開けると、車内中央にプラスチックの水道管を半分に割ったような筒が、たてに置いてあった。
そこにスルリと9フィートの長さのままのロッドが収まるようになっていた。
おまけに、何本かのロッドがガタガタ触れ合わないよう、クッションにスポンジまでセットしてあるではないか。
さすが、毎日釣りをしているだけのことはある。
あなどれない釣り師のようだ。
一度、車で5分程のグラハムの家に釣り具を取りに寄という。
これまた閑静な住宅街にある、こじんまりとした平屋だった。
敷地が広いので一見、小さな建物のようだが、ベッドルームは4部屋、キッチン、ダイニングとリビング。
宿屋ができる、と思ったら、
「フィッシングロッジだよ」とグラハムは笑って言った。
まさか、と思ったが、ガレージには黒いゴム長タイプのウェーダーが4本ばかりかかっていた。
リビングの壁にはなんと、8ポンドのレインボウの剥製が。
体長は70cmぐらいか、全体に婚姻色に染まり、まるまると立派な体高をしている。
オスらしく鼻が見事に曲がり、精悍な顔つきだ。、、、やはりこのオヤジ、ただものではない。
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| トンガリロリバーの各ポイントとなるプールを示した看板。アクセスも分かりやすく表示されている |
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グラハムのタックルを車に積み、いざ出発。
国道1号線をウェリントン方面へ向かうこと10分。
川沿いに降りる脇道へ入り5分でハイ到着。
あっという間だが、国道1号線とはいっても交通量が少ないので、どの車も時速100kmで走る。ほとんどハイウェイである。
プールへの降り口にパーキングスペースがあり、そこに車を止めた。
ブレイカウェイプールは先程のプールよりもずいぶん開けた河原のプールだった。
街道より少し離れているためか、釣り人は誰もいない。
グラハムは「マイ フェイバリット プール」と言った。
私たちは、彼の大好きなポイントに案内されたらしい。
プールは、手前が河原で、流れの向こう側が深くなっている。
左手が下流で、流れは二股に分かれている。
私たちが来る前に一週間ほど、大雨が続いたらしく、普段よりもかなり増水していた。
そのため、流れが二股に分かれている中州には、とても歩いて渡ることはできない。
手前側もそれから先は崖がせまっているので、釣り下ることもできない。
流れの深みに向かって、ドロッパーのヘビィウェイテッドニンフにグローバグをつけ、ラインとリーダーの結び目に大きなグローバグヤーンのインジケーターをつけたシステムで流しはじめる。
ロッドは8番ライン指定のものだ。
これは、まさに秋から冬の大物狙いのトンガリロリバーならではのシステムで、とにかくニンフが重いのと、インジケーターが大きいのでキャストの際、風の抵抗が大きく、慣れるまでに時間がかかる。
重い流れの底を流して、石の影で休んでいるトラウトの鼻先に送り込んでやらなければ、フライをパクっとくわえてくれないのだ。
きちんとキャストできないと、たまに重いニンフがコーン!と音をたてて頭にあたる。
フックサイズも10番と大きいので、針がささったら非常に危険だ。
グラハムは9フィート10番の、アクションが硬めのロッドを使っていた。
25ヤードものラインをスーっときれいにターンさせキャストする。
ラインをアップストリームからダウンに流しきっては、そのまま一気に上流側にピックアップし、すかさずバックに振って斜め前、アップストリームにキャストする。
超ヘビィウェイテッドニンフにおおきなインジケーターをつけた25ヤードものラインを、一度も地面につけることなくキャストするのだ。
なんと無駄のない、美しいキャストなのだろう。
このプールでは、いかに長いラインをうまくあやつり、ニンフをどれだけ長い時間、川底を流していられるかが釣果のカギになるようだ。
つまり、ロングキャストが釣りの絶対条件となるのだ。
流れに3人並んで釣った。グラハムのキャストを横目に見ながらキャスト。
それでも、昨日一日ロッドを振ったせいか、流れの奥にうまくラインがのびた。
インジケーターが流心に沿って流れだしたな〜と思ったとたん、スコッと水中に消えた。
反射的にロッドをたてあわせると、ニブイ重さと動きが伝わってきた。
「リールでやりとりしなきゃ!」
手元のラインをあわててリールに巻取ると、最後に人さし指にラインがくるりと巻きついてしまった。
いかん、いかん、とその瞬間、ググッとロッドがしなり、魚がジャンプしたかと思うと、パッと軽くなってしまった。
並んで釣っていたグラハムが、「今のは、大きかった。」と残念そうな顔をした。
その後も、うまくラインがのびたと思ったら、アタリがあった。
今度こそはと、2度あわせをしたが、すぐにバレてしまった。
魚はいることは、いるのだ。
グラハムが「ジェントル ストライク」と言った。
どうも、私のあわせ方が弱いらしい。
全体重をかけ、ビッシッとロッドをたて、左手でラインを思い切り引くくらいでなければ駄目なようだ。
それから、
「あわせたら、まず、自分の立っている位置を水中から河原に出し、魚とのファイトを有利に運べる体制を整えること。リールにラインを巻取るのは、それからでいい。」
と、グラハムは続けた。
うーむ。ビッグワンをキャッチするまでの道のりは険しいのだ。
その日は夕方5時頃まで流したが、他にアタリはとれなかった。
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3. Glo Bugへつづく
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