Field note2007
風見鶏ならぬ、風見フィッシャーマン
今回もお世話になったグラハム宅 通称ツランギヒルトン
2007.10/30Tue.〜11/4Sun.
ニュージーランド トンガリロリバー、レイクタウポ
Text & photo/石川深雪
気温13〜20℃ぐらい だいたい晴れ


 
今年の夏は暑かった。猛暑でへろへろになった体と心を癒しに、2年ぶりのニュージーランドへ店主と二人旅。13年前に初めて行ったときに、トンガリロリバーで偶然出会って以来、毎回お世話になっているグラハム氏のお宅へ、今回もステイさせてもらった。
 東京ーオークランドのフライトが11時間、オークランドから北島中央部のツランギまで、眠い目をこすりながら車で約5時間。ようやくたどり着いたツランギでは、相変わらず元気な様子のグラハムが迎えてくれ、うれしさと疲れで、どーっと、体の力が抜けたのだった。

 翌日から、グラハムは朝からレイクタウポへボートを出してくれ、一緒に釣りをした。ニュージーランドは春。ちょうど今年の東京の11月の気候とまったく同じ感じで、朝は寒いが日が昇れば半袖でもいいほど暖かい。釣りの状況はというと、湖でも川でも浅瀬では30〜40cmほどのレインボウが、あちこちでライズする光景が見られるが、肝心の50〜60cm前後の大物はいまひとつ活性が低いらしい。
レアイクタウポのボートランプ
快晴のレイクタウポ。グラハム氏と店主
御年70歳!天気の良い日は、だいたいボートを出すらしい
 レイクタウポのホールと呼ばれるポイントでは、2〜3艘のボートがフライキャスティングではなく、ジギングでトラウトを釣っていた。ジギングといっても、スメルトという小魚に似せたストリーマーを2本枝バリにして、オモリで底まで落とし、底付近をゆらゆらと漂わせながら、ボートが流されるままに探っていくという釣り方だ。グラハムもジギングのセットを取りだし、私たちに釣らせてくれた。
「とりあえず、魚の顔がみたいし。。。」
 しばらくすると、アタリがあった。ぐいぐいと底へつっこんでいくようなひき。45cmぐらいの小ぶりなレインボウだった。45cmより小さい魚はキープできないので、リリース。45cm以上なら一日につき、3匹までキープできる。
 レイクタウポでの第一級ポイント、トンガリロリバーの流れ込み「デルタ」にボートを移動し、ようやくフライキャスティングでの釣り。
グラハムの一投目のキャストに、すぐにヒット。いいひきだったが、寄せてくるまでにバラしてしまった。残念。その後は、特にアタリもなく、スコーンを食べながらコーヒーブレイク。更にキャストを続けるが、風が強くなってきたので、この日のボート釣りは終了。
レイクタウポの魚は銀ぴかで、きれい
グラハムお手製のランチ
 ランチの後は、トンガリロリバーのブレックファーストプールへ出かけてみた。ツランギの高級別荘地街のすぐ裏手を流れる、アクセスのよい人気のプールだ。川沿いの散歩道には、犬を散歩させたり、ウォーキングする人がちらほらと行き交う。
プールのテール部分では、45cm前後の魚影がちらほらと見えた。魚はそこそこ入っているようだ。店主がさっそくニンフでヒット。45cmほどのきれいなレインボウだった。その後しばらくニンフで流すも、アタリなし。魚はいるものの、いまひとつ活性が低いようだ。雨が降ってくれれば、湖から魚が上がってきて、川がリフレッシュするのだが。。。
ブレックファーストプール

 2日目も朝から快晴。レイクタウポでボートフィッシング。今日は、昨日もいたおじさんのボートがジギングをやっていただけで、他には私たちだけ。おじさんは、ジギングで今日もぽつぽつとレインボウを釣っていた。
グラハムにすぐにヒット。30cmと45cmぐらいのレインボウのダブルヒット。でもキープするほど大きくも、太ってもいないのでリリース。店主にもヒットしたが、これまたリリースサイズ。日本の湖でなら、大喜びサイズなのだが。。。
その後は、ぱたりとアタリがとまり、おじさんが釣ったレインボウを1匹くれるというので、今夜のお刺し身用にいただく。風が強くなり、昼頃終了。

ジギングで昨日も釣っていたおじさん
 夕方、グラハムの銀行員時代の同僚アラン氏が、ウエリントンから車でやって来た。オークランドまでの道中、ツランギのグラハム宅で1泊していくのだという。同じく、元同僚で近所に住むロイス氏も今夜のディナーにやって来た。今夜は総勢5名の賑やかな夕飯だ。5時頃からラム&コークを、レインボウの刺身をつまみにちびちびとやりはじめる。夕方5時といっても太陽はまだ高く、8時にようやく陽が沈む。明るいうちから飲みはじめるので、なんだか変な気分だ。メインメニューは、塩漬けのビーフを茹でたもの「コーンビーフ」。デザートはロイス手作りのブラックベリーケーキ。美味っ!

 アランは、70半ばぐらいのお歳なのだが、オークランドの海辺にビーチハウス(別荘)を建築中で、その打合わせに、ちょくちょくウェリントンからオークランドまで10時間の道のりを移動しているらしい。グラハムと同じく、ラグビーの大ファン。ニュージーランド代表チームであるオールブラックスを応援しに、今年フランスで開催されたワールドカップへ、わざわざ出かけたらしい。その行程たるや、ウエリントンーオークランド、オークランドーロスアンゼルス、ロスーロンドン、ロンドンーパリと飛行機だけで2日かかったそうな。私たちは、東京からツランギの移動だけで、ひーひー言ってるのに、、、。どういうこっちゃ。
アランとロイスも一緒に、賑やかにディナー
コーンビーフとマッシュポテト
スモークド トラウト

 3日目、朝食後アランはオークランドへ出発していった。
湖での釣りが今一歩なので、今日は朝からトンガリロリバーへ行ってみることにした。まずは、先日行ったブレックファーストプールへ。誰もおらず、いい雰囲気なのだが、ニンフをひととおり流してもアタリがないので、上流のプールへ車で移動することにした。すると、パーキングの手前のつり橋のたもとで、お兄さんが待ちかまえていた。

「昨日、いよいよトンガリロでも、ディディーモの菌が発見されたので、すぐにすむからタックルを消毒させてほしい。」と言った。
ディディーモは、すでに南島の川に蔓延してしまった、生態系を変えてしまう怖れのある藻である。1年ほど前から北島でも、タウポエリアにこの藻を繁殖させないよう対策をとってきたのだが、いよいよ菌が発見されてしまったのだ。レンジャーのお兄さんは、私たちのウェーダーとシューズ、ロッド、リールを消毒した後、消毒液のスプレーボトルをくれた。
「川に入る前と後、ポイントを移る際も必ず、消毒してください。じゃ、良い釣りを。」

 上流のブループールを目指し、国道1号線から脇道へ入ろうとすると、ここでもまたレンジャーが釣り人やカヌーイストを待ちかまえていた。
「今、下のプールで消毒してもらったばかりなんですけど。」
というと、すぐに済むから悪いね。と言って、また消毒。フェルトソールは特に菌がつきやすいので、使用後は完全に乾かすか、フリーザーで一晩凍らすようにしてくれと、レンジャーは言った。

 ブループールは誰も釣り人はいなかった。前回、最後にようやく釣れたところなので、2匹目のドジョウ、、レインボウを狙ってみたのだが、うーん、特にアタリもなく釣れそうな気配なし。小一時間ほどニンフを流してみて、ランチにもどることにした。帰りもまたレンジャーが待ちかまえていて、「どうだ釣れたか?」と聞かれた。
「釣れにゃい。」と答えながら、消毒してもらう。ここでも消毒スプレーボトルを配っていた。
レンジャーのおにいさんに消毒してもらう
消毒スプレーと、ディディーモ撲滅のための注意書き
 それにしても、この遊びに対する河川管理の徹底していること。その姿勢には今回もますます関心してしまった。もともとこのタウポエリアにトラウトを放したのは国の政策なので、今も国が管理しているのだが、実際に現場で活動しているレンジャーは皆、釣り人がやっているようだ。消毒作業も、いちいち釣り人をつかまえては、ご苦労なことなのだが、「釣れたか?」「良い釣りを!」とか、声を掛けてくれてすごくイイ感じ。「皆でよい釣場、環境を守ろう!」という気持ちがひしひしと伝わってくるのだった。

 グラハムにしても、最初に出会った頃から会うたびに、益々このエリアで釣りに貢献する有名人になっているのだ。トラウトの孵化、養殖施設「トラウトセンター」敷地内にある、レイクタウポ及びトンガリロリバーでのトラウトフィッシングの環境を学習できる展示施設「リバーウォーク ビジターセンター」の建設に、ボランティアで関わった。完成までの3〜4年間、建設委員長として、ほぼフルタイムでその仕事に費やしたそうだ。また、トラウトセンターで月に2度ほど行われる、子供たちに釣りを体験させる「フィッシュアウト」というイベントにもボランティアで参加。毎回200人ほどの子供たちを、釣り人が10人ほどで面倒を見るらしい。なんと、今シーズンのフィッシングライセンスに載っている写真には、タックルを消毒される役でグラハムが写っていたのだった!

 フィッシングライセンスは、タウポエリアの湖、各河川どこでも釣りができる、1週間券でN.Z.$34.00。わずか¥3,060なり。これで、大きなトラウトが釣り放題!もとい、狙い放題なのだから、やっぱりここは天国だあ〜。。。。

 午後は、雨が強く降りだしてきた。しめしめ、、、これでレイクタウポの魚たちが、どっとトンガリロリバーに上がってきてくれるといいなあ。

 夕方のTVニュースでは、北島で初のディディーモ菌の発見を、トップニュースで伝えていた。将来、この夢のパラダイスが、深刻な事態にならなければいいんだけど。
ツランギの新聞に載った記事。「釣りに情熱をかたむける」トラウトマスター グラハム氏
ウェリントンの新聞「ドミニオンポスト」 fish out スライドショウ記事
http://www.stuff.co.nz/dominionpost/0a25842.html

 4日目は、昨日の雨がすっかり上がり、朝から快晴。風もないようなので、ボートでレイクタウポのデルタへ行ってみた。グラハムが、フライキャスティング1、2投目でそれぞれ1匹づつキャッチ。どちらも良いコンディションのキープサイズだ。どうやら、昨日のまとまった雨で、デルタに魚が寄っているようだ。

 ようやく、私にもヒット。どーん、どーんとラインをひっぱる力強い引きで、ランディングしてみると体高のあるなかなかのサイズ。後で、グラハムがおろしたらきれいな赤身だった。店主にもレインボウがヒットし、やっとフライフィッシングらしい釣りを楽しめたのだった。トンガリロの流れ込みを、ボートの上からよく見ると、あそこにも、ここにも、いるわいるわ、黒い立派な魚影があちこちに。グラハムに言わせると、「ピーク時は、こんなもんじゃないぞ。」だそうだ。
レイクタウポ、恐るべし。。。

 ランチの後は、釣りにも行かず、ソファでごろごろ。広〜い庭の芝生では、近所のネコ「ハリー・ポッター」がごろごろ。ポカポカと気持ちがいいので、ウェーダーを干しつつ、ネコと一緒に寝そべる。極楽、極楽、、、。むにゃ、むにゃ、、、、。
やっとフライらしい釣りが
釣り味、味とも満点のレインボウ
隣家のネコ「ハリー ポッター」
まずはテラスでラム&コークを一杯 センスのよいロイスと、すてきなロイス宅
 今夜のディナーは、B&Bをやっているロイス宅へ。かつて銀行お抱えのコックだったので料理はプロ。4つものベッドルームと庭にプール、ジャグジーがある豪華な邸宅は、宿をやっているとはいえ、彼女には広すぎると言い、家を売りに出しているそうだ。今後はどうするのかと聞いたら、「売れたら考えるわ。娘と孫のいるウェリントンか、海外に暮らすかも、、。」と言う。ニュージーランド人の人生観というか、ライフスタイルというか、おおらかでスケールが大きいなあ。。。もともとニュージーランドは英国領だったので、英国圏ならどこでも仕事ができ暮らせるのだから、選択種が多いのだ。
デザートはチョコレートケーキ

 5日目もこれまた朝から晴天。川でまだ満足に釣っていないので、今日は朝からトンガリロリバーへ。一昨年、よく釣れた最下流部へ行ってみることにしたが、川への小道はブラックベリーが生い茂り、かなり荒れてしまっている感じ。釣り人はあまり来ていないようだ。アクセスが厳しそうなので、ここは諦めトラウトセンター裏の釣りやすいビーチプールへ。
 ゆったりと流れるすばらしい渓相は、まったく変わっておらず、足下の深みには大きな魚体が流れを上っていく姿が見える。
「おー、いる、いる。」

さっそくニンフで流しはじめると、店主がよいサイズをヒット。いいなあ。私はといえば、流木が沈んでいるらしく、すぐにニンフが根がかって、フライを取り替えること6回。さっさと流すポイントを替えればいいものを、よさそうな流れなのでついつい粘ってしまう。アホのようにフライと時間を無駄にする。、、、あれ?毎回、同じことを反省しているような。。ここで一番重いニンフを使い果たし、上のプールで流すも軽いニンフでは底がとれず惨敗。がっくし。
ニンフで探る
トラウトセンターの裏手はとてもいい流れ ニンフで釣ったレインボウ
 広くゆったりと流れるプールでは、黒い大きな魚影が点々と見える。店主がウェットを流して、見事にヒット。こんなロケーションで釣れるなんて最高だ〜。私も同じく、ウェットでトライするが、アタリが一度あったものの、フッキングにはいたらず。悔しい。。。
 今日は、魚の活性が高いようだし、今釣らないでいつ釣る?

 一旦、お昼を食べに戻った後、すぐさま同じプールに引き返し、またチャレンジ。午前中に散々ニンフを無くしたポイントで、今度はウェットを流してみた、、、、ら、一発できた!フライは早い流れを沈みきっていないようだったが、ぐぐっとラインが重くなるようなアタリ。魚の食い気がかなりあったようだ。やっとかけたこの魚、逃してなるものかー!下流に走られないように、しっかりと寄せてランディング。50cmほどのプロポーションのよいオスのレインボウだった。やっと、トンガリロで満足のいく釣りができたのだった。
 その後も、店主はニンフで2匹追加。珍しく、夕方まで釣りをして、大満足の1日を過ごせたのだった。

 夕方、グラハム宅にはアランがオークランドから戻っていた。ロイスも加わってまた賑やかなディナーとなった。

店主がウェットで釣ったレインボウ
ウェットにはもってこいの流れ
黒い魚影が点々と見える。ロケーションも最高のプール
こぶりだけど、よくひいたという弾丸レインボウ
やっとウェットで釣れたレインボウ。ありがとー!

 6日目、朝から雨模様だが、最終日なので午前中だけでもロッドを振りたいと、また昨日のビーチプールへ。日曜日とはいえ、雨なので釣り人は誰もいない。昨日ウェットでかけたポイントで同じように釣るがアタリなし。店主も重いニンフを使い果たしてしまったので、思うように底が流せずギブアップ。ひととおり流した後、ポイントを替えて上流のブループールを目指した。
国道1号線からの脇道には、この雨の中、やはりレンジャーが待ちかまえていてタックルを消毒。
「悪いね、すぐすむから。」
「イエイエ、この雨の中、ご苦労様です。」

 ブループールでは、やはり釣り人は誰もおらず、良いポイントに絞ってニンフを流しはじめた。流れの速い部分にのってしまうと底がとれないので、ゆるい流れとの際を攻めるとようやくインジケーターが沈んだ。銀色の魚体が高くジャンプ!きゃほ〜。少し下流に走られた後、河原にランディングしてくると、50cmほどの銀色のきれいな魚体のレインボウだった。

 雨が強くなり、最後に魚の顔も拝めたことだし、ここで潔く6日間の釣りを終えたのだった。今年のトンガリロは、トラウトのこれといった遡上のピークがなく、小ぶりの魚が多いという状況だったようだ。が、それでも川には魚は十分入っていたし、小ぶりとはいえそれなりに立派なサイズの魚を、素晴らしいロケーションの中で釣ることができて、大満足。次回はまた、こってりと重いニンフを巻いて出直すとしよう。

 今回もグラハムのおかげで、釣って、ゴロゴロして、食べて、食器を洗って、寝て、、、、という繰り返しの贅沢な休日だった。ひとえに感謝。感謝。
トンガリロのアクセスマップ
トンガリロリバー

2007年の楽しい釣り紀行をおまちしてます。
詳しい募集要項はこちらをお読みください。


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