Field note2006
2005.12.25〜30
ニュージーランド南島 マタウラリバーの釣り
Text/緑川淳

今年のマタウラリバーは?
 さて今回のNZ釣行の後編は、毎年かよっているマタウラでの4日間の釣りである。昨年は大雨で年末のマタウラはまったく竿を出せずに終わってしまったが、今年は解禁より多少、低水位ながらドライでいい釣りが続いているということで、マタウラのあの流れ一面のライズに久しぶりで対面できると期待しての出発であった。

 前半のクライストチャーチ周辺での釣りを愉しく済ませ、ガイドのDavidの所へ電話してみると、何と21日に大雨が降りまたもやマタウラ本流はだめだという報告!しかし、予定を変更することも出来ず25日の早朝、クライストチャーチを出発した。インバカーギルへ到着するとシトシトと雨がまだ降り、至る所水たまりが出来ている。レンタカーを借りて宿地のマタウラへ着くと、やはり本流はすっかり茶色に染まり水位も高い。しかたなく、早く澄む支流を資料で探してみると近くで一本あり、そのワイカカ川に出かけてみることにした。しかし、まだまだ水量も多く濁りも取れきれていない状況で、ニンフをしばらく流してあきらめて帰った。
 この日は、25日、NZでは年に一番のお祝いの日である。ガイドのDavidが毎年パーティーを開いてくれる。この日も夕方からゲスト大勢のパーティーになり楽しくすごした。
マボラレイク
26日 マボラレイク
 この日からガイドしてもらうことになり、マタウラはかなり急速に減水してきているがやはりまだ無理ということで、遠征である。こういった悪い条件の時はガイドのありがたさが増す。テアナウの手前近くまで出かけると、その辺りではそれほど降らなかったらしく、さらに上流部なのですでに減水していたのだ。

 事前情報では、サウス・マボラレイクでビートル・フライのサイトフィッシングでいいブラウンが出ている、また近くのハミルトンバーンも小渓ながら魚影が濃く楽しめるということであった。

 車で向かいながら、その日の風具合を見てどこにするか決めることになり、無風なので最初はマボラレイクへ向かった。ここは昨年も釣った場所で、流れ込みにはいつも魚が回ってくるし、湖面が静かなときには岸近くの浅場に魚が入ってきて、それを狙って仕留める釣りはなかなかエキサイティングなものだ。

 湖へ着いて、先に来ていたA氏の所で様子を聞くと、時たまライズはあるが数が少ないという。そこで、流れ込みに入ることにした。流れ込みは沖まで砂州が出来てその際へ立ち、落ち込みの流れすじにシンキングラインで流し込むとゴンとあたりが来るのだ。

 かなり強い、背からの風でバックキャストが出来ないが、流れに乗せてラインを送り出せばかなり広く探れる。入ってすぐに同行のS氏にヒット。良型のコンディションのいいレインボーだ。今年は昨年より型がいい。湖育ちの魚は太って銀ぴかでとてもきれいだ。

 その後、こちらにもヒット、それほど沖合でなくかなり手前に引いてきてヒットする。レインボーはジャンプを見せてくれ、その姿につい声が出てしまう。二人で数匹ずつ釣り上げたところで、A氏がやってきて並ぶ。しかし今日はちょっとした位置の違いで魚の付き場が違うのか、なかなかヒットしない。しばらくして、風も強く雨交じりになったので切り上げることにした。
 この日のヒットフライはダークブラウンのビーズヘッドウーリーバッガー、黒のノーマルウーリーバッガーで、ラインはタイプIIからIVのフルライン、もしくはシューティングヘッドであった。水温は意外と高く13〜14℃ほど。風に吹かれていると湖水の方が温かいほどだった。
マボラレイクのレインボー
こちらも太った湖産ニジマス
27日 ハミルトンバーン
 次の日はハミルトンバーンへ向かうことにした。ここは牧場の中をゆっくりと蛇行しながら流れ、両脇を柳の木が覆う川だ。ビートルかウイローグラブの釣りになるということで、一応使いやすいビートルパターンで開始。水色はこういった流れによく見られる、ちょっと紅茶のような色が付いているが澄んでいるもので、水深があると魚は見えなくなる。

 しばらく釣り上がると、岸の柳の木の脇を移動しながらなにやら補食している魚を発見。しかし、クルージングしながらのライズで、それもかなり散発的不定期なもので、魚の目の前にキャストすることが極めて難しい。そして何回かキャストすると出なくなってしまった。
 その後いいポイントには、ブラインドで数キャストしながら魚を見つけていく。今日は晴れて風もそれほどでなく釣りやすい。しかしライズしている魚はあまりなく、数匹小型のブラウンをキャッチしたが、ちょっと不満な結果であった。

 そして最後の大きなカーブを曲がりきると、ちょうどいい感じの流速で柳の木の下をゆっくりと流れているポイントを発見。近寄ってみるとそれほど大きくではないが、静かにライズしている魚がいる。泡すじのエサが流下しているポイントだ。気を引き締めてキャストするとライズ地点の少し上手に、ブラウンビートルのフライがうまく着水し、少し流れたところでいい魚が素直にフライに出てくれた。もうNZに入ってしばらく経っていたので、ゆっくりと聞くようなあわせも決まり、セットフック。これは結構な良形で、久しぶりの重量感のある魚とのファイトを楽しむ。体高のあるいかにも居付きの色の濃いブラウンだ。しかしファイトが長引くと水温が高いこともあり弱ってしまうので、早めにリリースするよう心がけた。

 そのポイント以降は、しばらく平坦な流れになってしまい終了とする。この日のフライは、ブラウンビートル。Davidの巻くビートルはブラウンのディアヘアをクリップさせ、刈り込んでボディを作り、ブラウンヤーンでオーバーシェルを作り、少しハックルを巻いてレッグにしたものだ。このタイプのビートルは、浮いたボディがユラユラゆれると、ヘアに含まれる空気がキラキラと光って意外に目立つことが判明。

 まだ時間があったので、昨日のマボラレークへ出掛けてみた。着いてみると思ったほど風が弱まらなくて、釣り人に話を聞いても日中にしばらくビートルでヒットする時間があったが、そのあとはニンフでどうにか数匹ヒットさせるのがやっとだったいう。それで、風裏のワンドへはいってみるが、すぐに風向きが変わってしまったので、さらに静かな吐き出しのポイントへ向かう。ここでもかなり沖目で数回ライズがあっただけで、それ以外活発な魚の行動は見られずに終わってしまった。
ハミルトンバーンのブラウンは色が濃い
最後のカーブで出てくれた良形
小さい川だと黒点模様も大きい
28日 ワイミア川へ
 今日はガイドを頼んでいない日で、Davidのところで朝食を取りながら情報をもらい、ワイミア川へ出かけることにした。これはマタウラの支流で、今年は魚影が濃く、何時いってもいい釣りが出来ていたという。そして、だいぶ水量も下がったのでもういいころではということであった。マタウラの合流点から釣りになるようだが、最初の橋からまず様子を見る。まだちょっと濁りがあるようだったので、かなり上流の2本目の橋からはいることにした。

 中規模の流れで、牧場地をゆっくりと蛇行して流れている川は、やはり茶色い紅茶カラーだ。流れの中には藻がかなり生えていて、河畔の柳とともに魚の付き場になっている。入ってすぐのトロ場の、対岸の木の付け根で浅くなったところにライズを発見。今日は、ハンピーを結んでキャストすると3投目くらいにヒット。これがまるまると太った良形であった。

 その後、同行のS氏と交互につり上がりながら遡行すると、余り目立たないのだが岸近くでライズしている魚をけっこう見つけることが出来、そこへキャストすればほぼ素直にフライをくわえてくれ、楽しく釣り上がることが出来た。風も弱くきれいに晴れた空のもとで、気持ちよくドライフライをキャストしての釣りは、やはりいいものだ。そして釣れてくるのが60cmオーバーのブラウンなのだから凄い。

 しかし、1尾小型だったが、ハンピーにはまったく反応しないブラウンがいて、キャストするうちにだんだん下ってきて、最後にはこちらの姿に気がついていってしまった魚がいた。たぶんウイローグラブを食べていたのだろう。この虫は本当に小さな黄色の芋虫で、柳の葉に巣を作り、赤黄色のこぶを作る。そこからサナギになるためなのか、はい出てきた虫が水面に落下し、それを集中して食べている魚は、極めて釣りにくいことになる。それは、フックサイズが18から20番で、そこへ黄色いスレッドだけを巻いたようなフライを使った釣りで、フライの目視が難しくティペットも細いため、ヒットさせることもランディングさせることも難しいのだ。

 結局は、そんな魚はすぐにあきらめて、ハンピーやビートルに反応してくれる魚に的を絞った方が得策になる。平地をゆっくり流れる川なので、まっすぐな平瀬が出てくると魚の付き場が無く次のポイントまでかなり歩く。二人でけっこう距離を稼いだので、早めに引き返すことにした。そして帰りに最初の一つめの橋までいってみたが、その周辺はまっすぐな流れが続き、かなり橋から離れないといいポイントが出てこない様子で、あきらめて終わる。この日は12・14番のハンピーを中心に使用。水温はやはり14℃ほど。
さてこれからワイミア川へ
ワイミア川に入ってすぐの良形
ワイミア川
29日 穴場のポンド?
 最終日の今日は、Davidがガイドする日本人の方が一緒に出掛けようといってくれたので、マタウラ本流を狙ってみることにした。まずは、広い浅瀬が続くポイントへいってみるがスピナーやダンの流下はあるのだがライズはなく、次にニンフにいいいいポイント:ギブソンプール下の瀬へ出掛けて見る。するとすぐにヒットしてきた。本流では体色の淡いシーランといわれる魚が見られるのだが、この日の魚はそのタイプが多い。魚体はそれほど大きくないのだが、その割りによく走り、大水のあとにはよく釣れるという。日本の大きな川で見られる戻り山女魚といった感じだろうか。そのポイントで釣っていると、だんだんとダンの流下が増えてきたのだが、残念なことにライズは起きないままであった。

 次に、マタウラ本流の脇に大きなポンドがあるから行こうということになり、出掛けてみると、さっそく岸近くでライズしている魚を発見する。ここは4,5年前に砂利を取るために出来たくぼみに水がたまり、出水のたびに魚が入り込み、さらに地元の釣り人が本流で釣れた魚を運び入れて増やした池だということだ。藻も生え水生昆虫も豊富でいい魚が入っているらしく、本流が濁ったときなどの逃げ場として最適なポイントになっている。

 すぐにもう一匹、やはり岸近くでエサをとっている魚をみつけ、二人がキャストするとヒット。ゆっくりと移動しながら何かを食べているのだが、一定区域からは離れずに回遊している。その動きに合わせて、魚の手前にフライが落ちるように計ってキャストするか、わざと水面を叩くように魚の後に強くキャストして振り向かせるやり方がある。今回は素直に直前にキャストして出てくれた。フライは今回もハンピーである。そのあとポンドのフチを中心に魚を見つけながら一周すると2匹、同じく岸際でエサをとっているのを発見し、ヒットさせる。こちらは本当に岸際で、ティペットのみ30cmほど水面に乗っているようなキャストでヒットしてきた。

 このポンドも、もう少し水が澄んでくれば中心部の藻の中の魚などもドライで出てくれると思われ、楽しみだ。しかし、近くまで車で入るには、鍵がかかったゲートを通る必要があり、それが出来ない場合には、それほどの距離ではないが道に車を止めて歩くことになる。
ここは釣り堀か?穴場ポイント!
こちらも砂利穴ブラウン
ギブソンプール
一通り見て回ったので、そこでDavidとは分かれ、我々は午前中のギブソンプールへ再度向かった。ニンフをキャストしはじめると、数匹ヒットしてくるが水面にはダン、スピナーがかなりの量流下している。しかし水面への魚の反応はなく、やはりまだ水位が高いことと濁りが取りきれていない状況では、ドライでは釣りにならないのかなと思っていた。

 ところが、その早瀬の先に大きなプールがあり、そこに行っていたS氏が戻ってきて、ライズがあるという。さっそく僕も行ってみると、大きなプールに渦を巻くように、時計回りにゆっくりと流れている中心部に、ライズしているけっこう魚がいる。しかしそこまでは遠くてちょっと届きそうにないし、届いてもすぐにドラッグが掛かってしまい釣りにならない所だ。もう少し見ていると、時たま岸近くの流れに乗ってスピナーが流れてくるとそれを拾い食いしている魚や、岸近くでクルージングしている魚もいる。

 そんな射程距離内の魚をねらってキャストしてみるが、やはり魚の移動方向がなかなかつかめず、また急いでキャストしても間に合わないのであった。しかし、岸近くを狙ったS氏がとうとうヒットさせた。ちょっとやせていたが体長のあるブラウンであった。本流はエサが取り辛かったのか、この日の魚はやせているものが目立った。この日はこれで終了とした。ニンフは16番でビーズヘッドのヘア&コパーやフェザントテール、スタンダードな小型のメイフライのパターンで、小さなインジケーターをリーダーに付けただけの軽いタックルである。

30日 最終日も早起きで、
 この日は、オークランドへ移動する日だが、朝少し釣る時間が取れるので、早起きして昨日夕方釣ったギブソンプールへ出かけてみた。早朝スピナーの流下があるかと期待したが水面は静かなままであったので、ニンフを投げて見ることにする。どうにか二人ともヒットさせて今年のNZ釣行を締めくくった。

 今回は、前半のクライストチャーチ周辺の釣りが新たな経験であった。源流帯のレインボーの釣りで、良形を二人とも釣り上げることが出来た。
後半は例年のマタウラ川の釣りであったが、もう少しで2年続けて竿を出せなくなるところであったが、どうにか後半には本流での釣りが出来た。しかし、あの川全体に広がるライズの嵐といった状況には、これで3年間お目にかかっていないことになる。来年にはぜひいい水況のもとでのマタウラの釣りを楽しみたいものだ。

 旅の最後は、オークランドでの買い物とシーフードレストランでの乾杯で締めくくって帰国した。
マタウラ本流のブラウン
執念のギブソンプール

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